「住宅ローンを組みたいけど、過去に料金の滞納や返済の遅延がある場合、審査にどんな影響があるんだろう」
実は、どの料金の返済が遅れていたかによって、住宅ローン審査への影響度が変わります。
それだけでなく、住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに基準が違っていて、同じ条件でも通る所と通らない所もあるんです。
本記事では、そんなちょっとややこしい住宅ローンについて、審査基準、職業ごとの審査の通りやすさの目安、料金返済遅延の扱いの違い、返済負担率の目安、健康状態と団信の関係、ペアローンや収入合算、金融機関ごとの特徴、審査に落ちた時のリカバリー方法を解説し、最後に申請の流れも合わせて紹介します。
この記事を読めば、住宅ローンの仕組みが大まかにわかるようになっているので、ぜひ住宅ローンを検討する時の参考にしてください。
住宅ローンの審査で金融機関が考慮している基準

住宅ローンの借入審査で金融機関が最も考慮に入れる基準は、安定して長期間にわたって返済できる能力があるかです。
審査は大きく分けて、事前審査(仮審査)と本審査の2段階で行われます。
事前審査は、物件探しの段階で「自分がいくら借りられるか」を簡易的に確認するもので、収入や雇用形態、個人信用情報などの最低限のものを数日程度で調べます。
一方、本審査では、事前審査よりも詳細な書類の提出が求められ、より深く厳密に審査されます。
国土交通省の調査データにおいて、金融機関が本審査で重視する基準は以下のようになっています。
| 審査項目 | 考慮している金融機関の割合 | 内容 |
| 完済時年齢 | 98.4% | 完済時の年齢が80歳前後とする金融機関が多い。 |
| 借入時年齢 | 96.0% | 長期にわたって安定的に返済が可能か。 |
| 健康状態 | 95.1% | 団体信用生命保険(団信)加入条件を満たしているか。 |
| 年収 | 93.4% | 融資希望額を毎月安定して返済できる収入があるか。 |
| 勤続年数 | 93.2% | 安定した返済を続けられるかの目安。 |
| 担保評価 | 90.5% | 万が一返済できなくなった際、物件を売却してローンを回収できるだけの価値(担保価値)があるか。 |
| 返済負担率 | 90.3% | 自動車ローンや他の借入も含めて、無理のない割合に収まっているか。 |
| 連帯保証の有無 | 85.5% | 連帯保証人・連帯債務者がいるか。 |
| 雇用形態 | 69.5% | 将来にわたって安定収入の継続性はどうか。 |
| カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 | 69.1% | 過去のクレジットカードやスマホ端末代の分割払いなどで、支払いの遅延や延滞記録がないか。 |
(出典:国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」より抜粋し作成)
どの金融機関でも、これらの項目はまず調べられると思った方がいいでしょう。
職業・属性別の審査傾向

住宅ローンは長期間の返済が前提となるため、継続的な収入が見込める職業が審査において有利になります。
| 職業・雇用形態 | 審査の傾向 | 詳細 |
| 正社員・公務員 | 有利 | 安定性と収入継続性の点で高評価なことが多いです。ただし、勤続年数と会社の規模、業界全体の離職率などは別途考慮されます。 |
| 契約社員・派遣社員(非正規) | やや厳しい | 長期間にわたって安定した収入を確保しており、今後も見込めると判断されれば、審査に通る可能性は十分にあります。 |
| パート・アルバイト | 非常に厳しい | 臨時的な雇用とみなされ、民間金融機関では単独での申し込みや収入合算の対象外とされるのが一般的です。 |
| 自営業・フリーランス法人役員 | 厳格 | 収入が不安定になりやすいと見なされるため、所得額や納税状況、申告内容などが、他の職業より細かく確認されやすく、過去3期分の確定申告書(決算書)の提出が求められます。 |
契約社員や派遣社員でも、継続して一定の収入があると判断されれば、全く審査に通らないということはありません。
一方、高収入の自営業やフリーランスの方でも、収入が短期的であると判断されると審査は厳しくなる傾向にあります。
職種・状況・タイミングによる審査の影響
正社員は住宅ローン審査で比較的有利な立場ですが、以下のような職種・状況・タイミングでは、審査が厳しくなることがあります。
- 勤務先がホテル・飲食・美容師などの離職率が高く収入の波が大きい業種
- 従業員数が10人に満たない小規模企業
- 金融機関が設定する勤続年数目安の「1年以上」または「3年以上」を満たしていない
- 独立・企業からしてから3年未満の場合
- ペアローンや収入合算を検討している場合、パートナーが産休や育休中の場合
絶対に組めないわけではありませんが、これらに該当すると審査が厳しくなることがあります。
もし避けられるのであれば、これらの状況は避けた方が良いでしょう。
過去の支払い遅延が住宅ローン審査に与える影響

過去の料金支払いの遅延歴は、「スマホ端末代やクレジットカードの遅延」と「年金や税金の滞納」とでは、違った視点でチェックされます。
「スマホ端末代やクレジットカードの遅延」と「年金や税金の滞納」の扱いの違い
スマホ端末代やクレジットカードの遅延、消費者金融への返済遅延などは、「クレジット契約(割賦契約)」として扱われます。
返済予定日から61日以上、または3ヶ月以上の遅延を起こすと、信用情報機関に異動情報(金融事故)として記録される、いわゆる「ブラックリスト入り」となります。
この状況になってしまうと、住宅ローン審査においては非常に不利になります。
一方、年金や税金、健康保険料の滞納は、信用情報機関に直接記録されるわけではありません。
申請時点で年金や税金の滞納があれば審査で不利になる可能性がありますが、住宅ローン審査申請時点で未納がすでに解消しており、提出書類でも問題が出なければ、クレジットのように長く引きずるものではありません。
「ブラックリスト入り」している場合の対処法
クレジット契約の返済遅延によるいわゆる「ブラックリスト」の情報は、信用情報機関や登録内容によって変わりますが、完済や延滞解消からおおむね5年(KSCの官報情報は7年)で削除される仕組みになっています。
そのため、過去にブラックリスト入りしていても、完済から5年経っていれば審査に通る可能性は十分あります。
ただし、この5年間は毎月期日通りに支払い続けて、「支払い能力に問題がなく信用できる人物である」という実績を積み上げていくことが前提です。
過去に遅延歴があって審査に通るか不安な方は、住宅ローンに申し込む前に、以下の個人信用情報機関に自分の個人信用情報を開示請求してみましょう。
- CIC(シー・アイ・シー):主にクレジットカードやスマホ分割払い
- JICC(日本信用情報機構):主に消費者金融やネット銀行
- KSC(全国銀行個人信用情報センター):主に銀行や信用金庫
ある程度手数料はかかりますが、スマートフォンやパソコンから簡単に確認することができ、郵送での請求も可能です。
審査の最重要項目「返済負担率」とは?

住宅ローンの審査項目に、「返済負担率」という普段あまり見慣れない項目があります。
これは、住宅ローンの借入金額に大きく影響するので、詳しく見ていきましょう。
年収別の返済負担率の目安
返済負担率(返済比率)は、「年収のうち、借金の返済に当ててもいい割合」です。
民間の銀行では、明確な基準は公表されていませんが、一般的に20%〜40%程度が目安です。
各年収帯ごとに年収の20%〜40%を返済に充てるとした場合、目安の金額は以下の通りになります。
| 年収 | 換算 | 20% | 25% | 30% | 35% | 40% |
300万円 | 年間 | 60万円 | 75万円 | 90万円 | 105万円 | 120万円 |
| 月額 | 5.0万円 | 6.3万円 | 7.5万円 | 8.8万円 | 10.0万円 | |
350万円 | 年間 | 70万円 | 87.5万円 | 105万円 | 122.5万円 | 140万円 |
| 月額 | 5.8万円 | 7.3万円 | 8.8万円 | 10.2万円 | 11.7万円 | |
400万円 | 年間 | 80万円 | 100万円 | 120万円 | 140万円 | 160万円 |
| 月額 | 6.7万円 | 8.3万円 | 10.0万円 | 11.7万円 | 13.3万円 | |
450万円 | 年間 | 90万円 | 112.5万円 | 135万円 | 157.5万円 | 180万円 |
| 月額 | 7.5万円 | 9.4万円 | 11.3万円 | 13.1万円 | 15.0万円 | |
500万円 | 年間 | 100万円 | 125万円 | 150万円 | 175万円 | 200万円 |
| 月額 | 8.3万円 | 10.4万円 | 12.5万円 | 14.6万円 | 16.7万円 | |
600万円 | 年間 | 120万円 | 150万円 | 180万円 | 210万円 | 240万円 |
| 月額 | 10.0万円 | 12.5万円 | 15.0万円 | 17.5万円 | 20.0万円 | |
700万円 | 年間 | 140万円 | 175万円 | 210万円 | 245万円 | 280万円 |
| 月額 | 11.7万円 | 14.6万円 | 17.5万円 | 20.4万円 | 23.3万円 | |
800万円 | 年間 | 160万円 | 200万円 | 240万円 | 280万円 | 320万円 |
| 月額 | 13.3万円 | 16.7万円 | 20.0万円 | 23.3万円 | 26.7万円 |
※この表は、年収に対して年間返済額がどのくらいになるかをわかりやすくするため、一般的な目安を年収別に計算した参考値です。
住宅ローン審査では、希望した額が各金融機関が定めたこの割合を超えてしまうと、希望額で審査が通らないことになります。
車のローンやリボ払いが返済負担率を圧迫する
上記の自己負担率は、住宅ローンだけでなく、車のローンやクレジットカードのキャッシングやリボ払い、教育ローンなど全ての債務も含めたものです。
例として、2024年の平均給与478万円の人について考えてみましょう。
年収478万円で、返済負担率が35%とした場合、この人が返済に使える金額の目安は、年間約167.3万円(月額約13.9万円)です。
返済負担率が30%なら、月あたり約12.0万円、25%なら約10.0万円、20%なら約8.0万円になります。
この金額は住宅ローンだけでなく、スマホ本体の分割払いや車のローン、クレジットカードなどの返済を全て含めた金額です。
もし車のローンとスマホ本体の分割払いで毎月4万円を返済している場合、この人は月額約13.9万円までしか返済に充てられないので、13.9万円-4万円で9.9万円。
この人が住宅ローンの返済に充てられる月額の金額は約9.9万円になってしまいます。
こうなってしまうと、ローンを組んだときのトータル借入金額が大きく下がります。
比較のために、条件を35年返済・元利均等・ボーナス返済なし・金利年4.0%で統一して、月額4万の別途返済がありかないかで住宅ローンを組んだ場合を計算すると、以下の通りになります。
| 返済負担率 | 別返済なし | 月4万円の別返済あり | 差額 |
| 35% | 約3,149万円 (月額約13.9万円) | 約2,245万円 (月額約9.9万円) | 約904万円減 |
| 30% | 約2,699万円 (月額約12.0万円) | 約1,795万円 (月額約8.0万円) | 約904万円減 |
| 25% | 約2,249万円 (月額約10.0万円) | 約1,346万円 (月額約6.0万円) | 約903万円減 |
| 20% | 約1,799万円 (月額約8.0万円) | 約896万円 (月額約4.0万円) | 約903万円減 |
このように、住宅ローンを組む段階で別のローンの返済が月額4万円あった場合、返済負担率が何パーセントだとしても、トータルで900万円借入金額が下がってしまいます。
もし住宅ローン以外の債務がありながら、住宅ローン用にいくらか貯金していた場合、その貯金を頭金に使うより別の債務の返済に当てた方が、借入金額が大きくなるでしょう。
【要注意】使っていないキャッシング枠も審査で見られることがある
手持ちのクレジットカードにキャッシング枠が残っている場合、実際に1円も使う意思がなくても、「いつでもその限度額まで借金ができる状態」とみなされて借入枠を減らしてしまうことがあります。
住宅ローン審査前に、使っていないカードの解約やキャッシング枠の取り消しも検討しましょう。
健康状態と団体信用生命保険(団信)の関係

団体信用生命保険(団信)とは、契約者に死亡や高度障害などの万が一のことが起きた際、保険金で住宅ローンの残高がゼロになるという生命保険です。
民間の金融機関で住宅ローンを借りる場合、この団信への加入が必須です。
団信に加入する条件として、以下のような、これまでにかかったことがある病気や手術履歴などの告知が義務付けられています。
団信加入時の告知事項一覧
| カテゴリ | 具体的な病名・状況 | ありがちな勘違い |
| 重い生活習慣病 | 高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変 | 薬で数値が安定しているから「治った(健康だ)」と思い込み、申告を漏らしてしまう。 |
| 3大疾病(過去の病歴・手術歴) | がん(悪性新生物)、脳卒中、急性心筋梗塞 | 数年前の手術で今は再発していないため、「過去のことだから書かなくていい」と自己判断してしまう。 |
| 日常的な通院・投薬 | 花粉症、喘息、腰痛など | 「命に関わる重い病気ではないから書かなくてもバレないだろう」と軽視してしまう。 |
| 病気以外の告知事項 | 妊娠中、健康診断の「要再検査」や「要経過観察」 | 妊娠は病気ではないため関係ないと思ったり、再検査に行っていないから健康だと判断したりしてしまう。 |
特に、過去の手術で完治したものや、花粉症や腰痛、健康診断の「要再検査」は告知漏れしてしまうことが多いです。
うっかり申告漏れや虚偽の申告をすると、万が一の際に残された家族に多額の借金がのしかかるリスクがあります。ありのままを正確に告知しましょう。
持病によって団信加入に不安がある方向けの抜け道
過去の病歴や持病によって通常の団信の審査に落ちてしまったり、審査に通るか不安がある場合、以下の二つを検討しましょう。
ワイド団信
金利に0.2〜0.3%程度の上乗せが必要になることが多いですが、団信加入の基準が緩くなっています。
金融機関によって多少基準が違うものの、通常の団信の審査が通らないような持病があっても、審査を通過することがあります。
フラット35
物件の条件が厳しくなったり、金利が更に上がるなどの制限が増える代わりに、団信に加入しなくても住宅ローンを組める仕組みです。
ただし、団信に入らなければ自分の身に万が一の事があった場合、残された家族が住宅ローンの返済を負うことになります。
そのため、民間の生命保険(収入保障保険など)などと併用することが推奨されています。
ペアローンや収入合算で借入額を増やす

年収に対して物件の価格が高くて希望の借入額に届かない見込みがある場合、将来ご結婚されるパートナーとペアローンや収入合算するという方法があります。
ペアローン・収入合算とは
ペアローンとは、1つの物件に対して、2人がそれぞれ別々に住宅ローンを契約する方法です。
収入合算とは、夫婦のどちらかがメインの契約者となり、もう一方の収入を合算して1つののローンとして申し込む方法です。
収入を合算した側は、銀行やプランによって連帯保証人または連帯債務者のいずれかになります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
| 項目 | ペアローン | 収入合算(連帯債務) | 収入合算(連帯保証) |
| 契約数 | 2本の独立した契約 | 1本の契約(連名) | 1本の契約(単独) |
| 特徴 | 借入限度額を最も伸ばしやすい。 夫婦それぞれが主債務者のため、意思決定の自由度が高いが、事務手続きは2倍になる。 | コストと節税のバランス型。 諸費用を抑えつつ、夫婦の実績を合算して審査を受けられる。フラット35等では一般的。 | シンプルで低コスト。 合算者はあくまで「補助」の立場。どちらか一方が家計を支えるスタイルの場合に適している。 |
| 住宅ローン控除 | 夫婦双方が対象 | 夫婦双方が対象 | 主債務者のみ |
| 団信加入 | 夫婦双方が加入(各自の残高分のみ) | 原則、主債務者のみ(※連生団信なら両方可) | 主債務者のみ |
| 返済責任 | 二人とも全額に責任(互いに連帯保証人) | 二人とも全額に責任(当事者・連帯債務) | 主債務者が不能時に全額責任(連帯保証) |
| 諸費用 | 2人分(割高) | 1人分(割安) | 1人分(割安) |
ペアローンは、補償が充実している代わりにコストが高くなります。
収入合算は、一部の補償をカットすることでコスト面を抑える設計になっています。
収入合算における合算者の雇用形態が与える影響
収入合算を利用する場合、合算者の雇用形態は審査に大きな影響を与えます。
合算者が正社員であれば、多くの金融機関で年収の全額をスムーズに合算することができます。
しかし、合算者がパートや派遣社員といった非正規雇用の場合、民間金融機関では「収入合算の対象外(不可)」とされたり、合算できる金額が「合算者の年収の半分まで」に制限されたりするケースが一般的です。
フラット35を利用する場合は、合算者の雇用形態に関わらず、合算者の年収の全額を合算して審査を受けることが可能です。
いずれの契約形態も夫婦双方に重い返済責任が生じますので、契約前にお互いの働き方や将来についてしっかり話し合い、最適なプランを選びましょう。
【要注意】ライフイベントによる収入減のリスク
夫婦でペアローンや収入合算をする場合、特に20代後半から30代にかけては、妊娠・出産・育休取得などによって、世帯収入が減少する時期があります。
現在の2人の年収を合算して審査で通る限界額まで借りてしまうと、産休や時短勤務に入った途端に家計が回らなくなってしまう恐れがあります。
将来の収入減のリスクもしっかりと考慮し、万が一どちらかの収入が減っても無理なく返済を続けられる安全な計画を立てることが重要です。
ネット銀行・メガバンク・地方銀行・信用金庫の特徴と傾向

住宅ローンの審査基準は、全国の金融機関で統一されているわけではありません。
そのため、A銀行で審査に落ちても、B銀行では満額承認になるケースも珍しくありません。
以下に、ネット銀行、メガバンク、地方銀行、信用金庫での特徴と傾向をまとめました。
| 金融機関 | 金利の低さ | 審査の柔軟性 | 特徴 |
| ネット銀行 | 安め | 低め | 機械的な審査のため、審査に有利な職業でないとはじかれることがある |
| メガバンク(三井住友、三菱UFJなど) | やや安め | やや低め | 独自の基準があり、現在の年収や勤務先が安定していれば、過去の軽微な遅延はカバーできることもある |
| 地方銀行(横浜銀行、千葉銀行など県名がある銀行) | やや高め | やや高め | 「その地域に根ざしているか」を重視し、個別の事情を親身に聞いてくれる傾向がある |
| 信用金庫 | 高め | 高め | 地域貢献が目的の一つであるため、過去の履歴や職業でひっかかっても、融通を効かせてくれることがある |
総じて、金利が低ければ低いほど柔軟性も低く、金利が高ければ高いほど柔軟性も上がる傾向にあります。
ネット銀行は低金利が魅力ですが、対面ではなくデータによる機械的な審査が中心です。
そのため、基準に少しでも満たないと機械的にはじかれてしまうことがあり、大企業や勤続年数が長いなど、審査に有利な職業の人に向いているでしょう。
一方、メガバンク・地方銀行・信用金庫は対面での審査や契約が中心です。
転職直後で勤続年数が短くても「キャリアアップ・年収アップのための転職である」といった前向きな個別事情を直接説明すれば、ある程度融通を利かせてくれる可能性があります。
ただし、あくまで傾向があるというだけなので、実際の条件は商品ごと・申込者ごとに異なることには注意しましょう。
審査に落ちた・減額されたときのリカバリー戦略とNG行動

ここでは、望まない結果になった際のリカバリー戦略と、審査に落ちた時に焦ってやってしまいがちなNG行動を解説します。
減額承認された時の対処法
審査には通ったものの、「希望額は3,000万円でしたが、2,000万円までしか貸せません」といったように、希望額から減らされて承認されることを減額承認と呼びます。
減額承認されてしまった場合、以下のようなリカバリー策があります。
自身の資金や計画を見直す
- 頭金を増やして借入希望額自体を下げる
- 車のローンやリボ払いなど、他の借入を完済して返済負担率を下げる
- 物件の予算(購入価格)を下げて、シンプルな間取りなどに変更する
金融機関へのアプローチを変える
- 対面審査の金融機関で、事情を説明して金利上乗せなどの譲歩案を引き出す
- ワイド団信、フラット35などを利用する
前述の通り、対面審査の地方銀行や信用金庫では、担当者に事情を説明することで金利を少し上乗せする代わりに希望額まで融資する、など融通が利かせてくれる場合があります。
A銀行で減額承認されたとしても、現在の銀行に固執せず、信用金庫など相談に応じてくれる確率が高い金融機関で申請したり、ワイド団信やフラット35など、審査基準を変更して申請するのが得策と言えるでしょう。
審査に落ちた直後にやってはいけないこと
ただし、短期間に手当たり次第に金融機関へ住宅ローン審査を申し込むのは危険です。
CICとJICCでは、住宅ローンの申し込み履歴が6か月間記録されます。
そのため、短期間で多重申し込みをしてしまうと、信用情報機関から「金銭的に相当困窮して焦っているのではないか」などと警戒され、通常なら通るはずの審査も通らなくなる「申し込みブラック」と呼ばれる状態になる恐れがあります。
審査に落ちてしまった場合、まずは「なぜ落ちたのか(車のローンのせいで返済負担率が高すぎたのか、信用情報に傷があるのか)」の原因を把握し、前項で載せた対策などを講じましょう。
本記事では、短期間に多く申し込み過ぎない基準として、 「同時並行の申込みは2〜3行程度まで」を目安に、結果を見ながら追加検討する形をおすすめします。
住宅ローン申請と契約の流れ

これまでの住宅ローンの審査の特徴や注意点などを述べてきましたが、ここからは住宅ローンの申請から契約までの流れを紹介します。
本命の物件を決める前に、まずはお試し物件で事前審査を受ける
理想の家を見つけてから審査に落ちると、精神的にかなりのダメージを負います。
それを防ぐには、まずはお試し感覚で候補に近いチラシの物件で事前審査を申請して、現在の自分の借入可能額を知ってから本格的に物件を探すことが有効です。
借入可能額が分かれば、本命の物件を探す範囲が決めやすくなるだけでなく、ペアローンの検討や、返済負担率を調整するなどの計画を立てやすくなります。
事前審査であれば最短即日〜1週間程度で結果がわかるうえ、スマホから簡単に申し込めるので、まずは手近な物件で事前審査を申請してみましょう。
事前審査には以下の書類が必要になるので、忘れずに用意しましょう。
- 必要書類: 免許証などの本人確認書類、直近の源泉徴収票、物件のチラシ など。
本命の物件が決まった後の流れと必要書類
お試し審査で物件の価格帯を定めた後、本命の物件を見つけたら、以下の順に審査が進みます。
① 事前審査(期間:数日〜1週間程度)
本命の物件で、改めて事前審査を申し込んで正式な承認を得ます。
- 必要書類: 免許証などの本人確認書類、直近の源泉徴収票、物件のチラシなど。
② 不動産会社と正式に売買契約を結ぶ
一般的にここで物件価格の5〜10%程度の手付金を支払いますが、この時契約書に「ローン特約」が付帯されているか確認しましょう。
ローン特約とは、万が一次の本審査で落ちてしまった場合に、違約金なしで契約を白紙に戻し、支払った手付金が全額返ってくるルールです。
また、ここで交わした売買契約書や重要事項説明書は、次の本審査で必ず提出することになります。
大切に保管しておきましょう。
③ 本審査(期間:1〜3週間程度)
公的書類をもとに、物件の担保価値や健康状態、申告内容の真偽などを金融機関が審査します。
必要書類が多く、発行に時間や手間がかかるものも多いので、余裕をもって準備しましょう。
- 必要書類: 事前審査の書類、住民票、印鑑証明書、課税証明書、売買契約書、重要事項説明書 など
④ 住宅ローン契約〜融資実行
本審査通過後、金融機関と正式なローン契約を結びます。
一般的には、契約時や引き渡しの時に、新居の住所に移したあとの住民票や印鑑証明書が求められます。
また、金融機関と「金銭消費貸借契約書」を結ぶ際、紙媒体だと数万円単位の収入印紙代が別途かかります。
融資実行日(物件の引き渡し日)は金融機関に集まり、融資されたお金をその場で売主へ支払い(残金決済)、司法書士による登記手続き(所有権移転・抵当権設定)が行われます。
この日は必ず平日に時間を確保して立ち会う必要があります。
- 必要書類:本人確認書類(運転免許証など)、住民票の写し(新住所・家族全員分)、実印および印鑑登録証明書(新住所のものが必要なケースが多い)、収入印紙(電子契約の場合は不要なこともある)、返済用口座の通帳・キャッシュカード・届出印、売買契約書などの原本 など
以上が、住宅ローン審査と物件引渡しの流れです。
それなりの期間と多くの書類が必要なので、準備できるものは早めに準備しておきましょう。
また、本審査の期間中に新たな借入や転職などをしてしまうと審査に大きな影響が出るので、絶対に避けましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。本記事の内容をまとめると、以下の通りになります。
- 住宅ローンの審査では、「完済まで安定して払い続けられるか」という信用力が重視される。
- スマホ端末代やクレジットカードの遅延などの「クレジット契約」での延滞は、おおむね完済から5年ほど履歴が残っている。税金や公共料金は、審査時点で未納がなければクレジット契約ほど気にする必要はない。
- 返済負担率は、他の車のローンやリボ払いなどの他の借入も含むので、住宅ローンの借入金額を最大化したい場合は、他の借入を先に完済できると良い。
- 民間ローンでは団信加入が必須なので、過去の手術歴や軽度でも定期的な通院をしている場合は必ず申告する。持病がある場合は、ワイド団信やフラット35も検討する。
- ペアローンや収入合算を検討している場合は、産休・育休などを考慮して返済計画を立てる。
- 金融機関ごとに審査の傾向が異なるので、自分にあった金融機関を選ぶ。
- 審査に落ちたり減額になったとしても、闇雲に追加申請せず、借入条件を見直したり申請する金融機関を変えて、様子を見ながら追加申請する。
住宅ローンは、人生において大きな決断の一つです。
後悔のないように、まずは候補に近い条件の物件でお試しの事前審査をして、自分の借入可能額を把握することから始めましょう。


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