PDCAサイクルはなぜビジネス以外でも使えるのか?学習のプロセスとの共通点から紐解く

学習

皆さんは、「PDCAサイクル」という言葉をご存じでしょうか。

業務改善を担当していない方でも、耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、PDCAサイクルがどのようなものかを、言葉で説明できる人は意外と多くないのではないでしょうか。

本記事では、PDCAサイクルの基本原理を整理した上で、このフレームワークが幅広く使われている理由を学習のプロセスと結び付けて筆者なりに考察します。

あわせて、メリット・デメリットや、サイクルを上手く回すコツ、PDCA以外のフレームワークもご紹介します。

PDCAサイクルとは

PDCAサイクルとは、業務の効率化や品質管理を継続的に改善していくためのフレームワークです。

Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つの段階をループさせることによって、計画的かつ継続的に目標の達成を目指します。

実際に企業の業務改善だけでなく、学校教育やスポーツクラブの運営改善など、ビジネス以外の分野でも幅広く活用されています。

PDCAサイクルの基本構造

PDCAサイクルの4つの段階は、以下の通りです。

  • Plan(計画):具体的な目標を設定し、達成のために何をするか計画を立てる
  • Do(実行):立てた計画を実行する
  • Check(評価):実行結果の要因や計画を客観的に検証、分析する
  • Action(改善):分析結果をもとに、改善策を考えて実装する

これら4つの段階を経た後、さらに良いものにするためにP(計画)に戻って、このサイクルを繰り返します。

circular-diagram-showing-the-four-stages-of-the-pdca-cycle-plan-do-check-and-action-with-a-red-dot-moving-along-a-central-rotating-arrow

なぜPDCAサイクルは幅広い分野で使えるのか

これは筆者の考えですが、『PDCAサイクルを回すことは、人が何かを学習する際のプロセスをそのままなぞることになるから、PDCAサイクルは幅広い分野で活用できるのではないか』と考えています。

文部科学省のホームページには、人が物事を学習する過程についての資料が掲載されています。

詳細は下記のリンクからご確認いただけます。もしご興味があればそちらを参照してみてください。

参考資料3「学習のプロセスのイメージ(例)等(理論整理補足資料より抜粋)」 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/060/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/02/04/1366512_13.pdf

文部科学省 中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 理系ワーキンググループ(第3回)配布資料https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/060/siryo/1366512.htm?utm_source=chatgpt.com

もちろん、上記の文部科学省の資料が学習のプロセスとPDCAサイクルを直接結び付けているわけではありません。

しかし、学習のプロセスの6つの段階を確認すると、PDCAの各段階と重なる構造が見えてきます。

学習のプロセス6つ

文部科学省の理論整理補足資料に記載されている学習のプロセスは、以下の6つです。

  • 動機付け:これまでの知識や経験では対処できない問題に直面する
  • 方向付け:問題解決に向けて、どう学ぶか見通しを立てる
  • 内化:問題解決に必要な知識や技術を学ぶ
  • 外化:学んだことを活かして問題の解決を試みる
  • 批評:成果を振り返り、よかった点と足りない点を考える
  • 統制:足りなかったことを見出し、次の学習へ向かう

「今のままではダメだ」と思った(動機付け)後に、「何をすればいいか」を見つけ(方向付け)、勉強や修行を重ねて(内化)、実践に臨みます(外化)。

その結果を振り返り(批評)、次のステップへ進みます(統制)。

circular-diagram-illustrating-six-phases-of-learning-motivation-orientation-internalization-externalization-criticism-and-control-with-a-red-dot-indicating-the-current-step

PDCAサイクルと学習のプロセスの共通点イメージ

学習のプロセスとPDCAサイクルは、『計画を立て、実行し、振り返り、修正するという段階が循環する』という考え方が共通しています。

その意味で、『PDCAサイクルを回すことで、人間が物事を学習するプロセスを実践している』と筆者は考えています。

PDCAサイクル学習プロセス内容
P(計画)動機付け、方向付け問題を明確化して具体的な目標を定め、達成のために何をするか考える
D(実行)内化、外化立てた計画を実行する
C(評価)批評実行の結果を客観的に振り返り、分析する
A(改善)統制分析結果をもとに、次はどうするかを検討する

※文部科学省資料の学習プロセスをもとに、筆者がPDCAとの共通点を整理した対応イメージです。

PDCAサイクルのメリットとデメリット

幅広く活用されるPDCAサイクルですが、メリットもあればデメリットもあります。

PDCAサイクルのメリット

PDCAサイクルを活用するメリットとして、一般的に次の3点が指摘されます。

  • 問題解決のプロセスが、ノウハウとして組織や個人の資産に蓄積される
  • サイクルを回せば回すほど課題が明確になり、無駄が少なくなっていく
  • 目標や評価基準を共有しやすくなってコミュニケーションが円滑になり、組織全体が活性化する

しっかり腰を据えて問題に取り組むため、中長期的に見るとメリットが際立ちます。

PDCAサイクルのデメリット

一方で、PDCAサイクルのデメリットとして、次の3点が挙げられることが多いです。

  • 計画立案と実行を繰り返すため、結果が出るまでに相応の時間がかかる
  • 「PDCAサイクルを回すこと」自体が目的となり、形骸化することがある
  • 前例や過去から学びを得るため、革新的なアイデアが出づらい

各工程をしっかり行う必要があるため、スピード感や目新しさの面では遅れを取る場合があります。

PDCAサイクルを上手く回すコツ

PDCAサイクルを上手に回すコツとして、実務では次のような点がよく意識されます。

  • P:明確な期日・担当者・数値を定めるが、細かく決めすぎない
  • D:気付いたことや思いついた変更点は記録する
  • C:振り返りの時間を前もって決めておく
  • A:改善策は「仕組みを作ること」を重視する

順番に詳しく見ていきます。

P:明確な期日・担当者・数字は定めるが、細かく決めすぎない

計画の段階では、「誰が・いつまでに・何を・どうやって」を必ず決めましょう。

また、「今週の木曜日までに」など明確な期日と、「5%削減」など具体的な数値目標を設定しましょう。

C(評価)の段階で振り返る際、「達成したか・していないか」を判定しやすくなります。

ただし、計画をあまりにも綿密に立てすぎると、イレギュラーが起きたときに対応しづらくなります。

実務では、100%の計画は決めず、7〜8割程度のプランで進めると運用しやすいという考え方もあります。

D:気付いたことや思いついた変更点は記録する

計画を実行しているときは、時間や進捗状況だけでなく、より効率的な方法を思いついた内容や、不都合があったときの気付きをメモしておきましょう。

特に仕組みを作っている段階だと、「管理のしやすさ」と「作業のしやすさ」は両立しないことがあり、議論の焦点になりやすいです。

C(評価)の段階で具体的な意見として発言し、参加者全員で話し合えると理想的です。

C:振り返りの時間を前もって決めておく

「毎週金曜日の17時は必ずチェックを行う」など、あらかじめチェックの時間をスケジューリングしておきましょう。

忙しさを理由にチェックする時間が取れず、サイクルが止まってしまうことがあります。

また、この段階は「なぜこの結果になったのか」というプロセスの事実を振り返る場です。

たとえ誰かがミスをしたとしても、個人を責める場にならないよう注意しましょう。

A:改善策は「仕組みを作ること」を重視する

改善策は、「手順を変える」「チェックリストを作る」など、誰がやっても改善できる仕組みを作ることを意識しましょう。

「次は気を付ける」といった曖昧で意識頼みの改善策では、再発リスクが高まります。

たとえ対策が上手く機能しなかったとしても、「この対策は有効ではなかった」ということはノウハウとして蓄積されていきますので、無駄にはなりにくいです。

PDCA以外のフレームワーク

幅広い分野で活用できるPDCAサイクルですが、デメリットの項目で触れた通り、全ての場面に最適とは限りません。

以下の2つのフレームワークは、PDCAサイクルを当てはめにくい場面で有効とされる手法です。

OODAループ

意思決定のプロセスを示すフレームワークです。

特に、目の前で起きている問題にその場で対応しなければならないときに有効です。

  • Observe(観察):市場や相手の動向・状況を観察する
  • Orient(情勢判断):観察した情報から「今何が起きているか」の仮説を立てる
  • Decide(意思決定):仮説に対し、具体的に何をするかを決める
  • Act(実行):決めたことを実行し、実行結果を再度観察する(最初のOへ戻る)

PDRサイクル

ビジネス実務で紹介されることがある、「行動」を起点とするフレームワークです

前例がなかったり、今までやったことのないことを始めるとき、「まずはやってみる」ことからスタートして試行錯誤していきます。

  • Prep(準備):緻密な計画ではなく、最低限の目的と取る行動だけを決める
  • Do(実行):決めた行動を実行する
  • Review(評価):何が起きて、なぜそうなったかを見直し、次のPに繋げる

まとめ

PDCAサイクルは、企業の業務改善だけでなく、学校教育やスポーツクラブの運営改善など、ビジネス以外の分野でも活用されています。

さらに、計画・実行・振り返り・改善という流れは学習のプロセスとも重なる面があるため、自己改善や学びの場面にも取り入れやすいフレームワークです。

もし趣味や自己啓発などで、何らかの進歩や成果を出したいと思ったときは、PDCAサイクルを取り入れてみましょう。

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